コンビニの耐障害性の低さ
大雨の被災地に住む者として、災害時のコンビニは著しく脆弱なことが分かる。
POSシステムをいち早く採用し、洗練された物流システムを確立することで、コンビニ大手は成長してきた。
大型物流センターに、商品を集約することにより、配送回数を抑える。食品製造工場から、店舗への直送を行うことで鮮度を維持しながら短納期を実現。
一見素晴らしい洗練された物流システムは、精密機械のようなものであるが、災害が発生し、その歯車の一部が破損するだけで動作が止まる。
被災地のコンビニの棚が空になる中、原始的な地元スーパーを訪れると、比較的在庫が多い。なぜなら、バッファーとしての在庫を多めに持っているから、交通インフラが破壊されても、近郊の倉庫からある程度の在庫補充が可能。
前時代的な物流システムは、逆に耐障害性が高いことが証明されている。
ただし、これは、交通インフラが全面的に破壊された今回のような広域大規模災害の条件下だが・・・。私には、今回の災害が、数十年に一度のものとは思えない(長期的な気候変動の影響)ので、一過性の話として片付けられないように思う。
ITとマーケティングの狭間で
最近、IT技術の整理にどっぷりつかる日々を送っている。
Web廻りから、クラウドによるインフラ構築まで一通り。
技術的に5年ほどブランクがあるのだが、恐ろしい変化を遂げていて驚く。逆に言うと、この業界は常に技術を吸収し続けないと食っていけないということなのだろう。
習得した技術の陳腐化が激しいというのは、結構厳しいものだ。家を建てる技術、鉄筋コンクリートを構築する技術が5年で陳腐化するだろうか?
ここ数年、経営とマーケティングの仕事ばかりしてきた。ITは眺めるだけだったのだが、どっぷりつかることで見えてくるものもある。コードと格闘しながら、マーケティング・センスを持ちながら、技術にはまれるところが自分の存在意義なのだろうと考えたり・・・。
ふくらみ続ける巨大な雲
IT業界の境界線上に長く身を置いている。
境界線上というのは、ITとマーケティングの重複する領域で仕事をしているから。
「これはねぇ、Mosaicといって、アメリカのホワイトハウスの情報までみれるんだ」
という説明を目を輝かせつつ聞いて、すでに26年近くが過ぎた。
当時、クモの巣に例えられたネット上のデータの集合体は、今や巨大に膨張してクラウドとなった。
ちょっと頭の中の時系列を遡るだけで、さまざまな変化を思いつくことが出来る。
- パソコン通信のようなクローズドネットから、セキュリティの不安を抱えるオープンなインターネットへ
- Windows NTのような一社が担う巨大開発プロジェクトから、Linuxのようなオープンで多数の無償開発者が携わるOSSへ
- 静的なコンテンツから、ブログ、SNS、ストリーミング配信のような多彩な動的コンテンツへ
- ポケベル、PHS、携帯、i-mode携帯、スマホと劇的に高性能化が進んだモバイル端末
- テレビ、ラジオ、雑誌を起点とする口コミから、価格コム、食べログ、Twitterなど自律的に生成される口コミへ
「たった30年弱の変化にしては、劇的すぎないか?」と最近、とみに思う。
緩やかな適応を旨とする農耕民族には、非常にアウェーな環境だと痛感している。こういう嵐のような環境変化が常態化する現代には、狩猟民族、遊牧民族がフィットするだろう。
同じ土地に留まっていては、劇的な環境変化に押しつぶされて餓死するだけ、フットワーク勝負。こうしてみると、欧米から持ち込まれたイノベーションだけに、欧米有利なゲームなのかもしれない。
などと思いつつ、ふくらみ続ける巨大なクラウドの中でもがき続けている。このブログは、そんな雲海航行船の船長による航行記である。